5月ももう半ばです。
4月末にお世話になっていた公証人の先生が退任されました(本当にお世話になりました)引継ぎ等で実質的に4月中旬から業務をされておられなかった関係で、5月は公正証書遺言作成業務が多くなります。4〜5件くらい公正証書遺言作成の証人立会いをする予定です。不動産の相続案件(関係図作成、協議書作成、登記申請は弁護士か司法書士)についても、5月中に何件か終了予定です。その他の業務もありますので、5月はある程度忙しいと思います。
平成19年6月に行政書士登録をしてから、もうすぐ丸7年になります。ホームページも7年間運用していますので、行政書士登録を検討されておられる方から、メールで質問を受けることがあります。「遺産分割協議書を各相続人に郵送して送るという行為は弁護士法に違反しませんか?」といったような質問を受けることはほとんどなく(^^;)、「行政書士でメシが食えますか?」といった質問が多いです。
行政書士というお仕事は、①単発業務が多いので(②7ケタ(100万円)以上の報酬が少ない、③顧問的な定期的な報酬を得ることが難しい(税理士さんや弁護士さんと比較した場合)事務所を安定して経営していくのは簡単でないのは確かです。
家賃10万円の事務所に常勤の事務員(補助者)さんを雇った場合、それだけで月に30万円以上の経費がかかります。専門家として安定した事務所経営を考えれば、月に100万円くらいの売り上げは欲しいところです。しかし、100万円の売り上げをあげるのはけっこう大変です。単純計算いきますと、1か月に報酬10万円の案件を10件こなせば、当然月間売り上げ100万円になります。
しかし、月に10件の仕事を終わらせるだけではなく、当然翌月以降分の10件の仕事の受注を受けていかなくてはいけません。行政書士が取り扱う業務分野はたくさんありますが、どの分野であっても、毎月10件の処理と10件の受注(営業)をこなしていくのは、行政書士1人と事務員さん1人の規模ではかなり大変です。現実的には、月に5〜6件くらいで手一杯になってしまう可能性は高いと思います。それですと売り上げも月に50〜60万円。月に60万円の売り上げでは経費をまかなうだけで精一杯といったところです。ですので、行政書士事務所の多くは、自宅あるいは家賃の安いところで、事務員さん無しという形態が多いです。
そうした実態(もちろん例外はあります)がある以上、「行政書士は食えない。」というのは事実だろうと思います。構造的に儲かりにくいですね。ですので、(1)ある程度お金に困らない環境がある人、(2)営業能力に自信がある人、(3)行政書士の取扱分野に関連性のある職歴がある人、こういった条件をクリアできている人以外には、正直、行政書士単独での独立開業はお勧めしません。登録希望者に聞かれたときにも、そのようにお答えしています。
行政書士登録を長く継続している方は、上記の条件をクリアしている方が多いです。貸アパートを所有していたり、すばらしい営業能力を持っていたり、開業の時点で仕事の依頼がたくさん来ている(あなたが開業するのであれば是非頼みたい・・)といったような人です。
私自身についても少し書いておきます。行政書士開業当時、法律事務所事務員としての給料がありました。それ以外でも収入がありました。妻も働いております。また法律事務所の事務員としての経験から、遺言作成、相続人確定作業、関係図作成、協議書作成といった実務はある程度わかっていましたし、気軽に相談できる弁護士、税理士、司法書士がいました。そのあたりがととのっていなかったら登録8年目を迎えることはできなかっただろうと思います。そんな恵まれた環境の中で、自宅開業、事務員さん無しでスタートして、月に10〜20万の売り上げでなんとかしのいできました。5年目くらいから、少しずつ仕事も増えてきましたし、継続的に報酬をいただけるお客様(個人、法人)も出てきました。そんな中で、今年になって、10万円以下の家賃ではありますが、事務所を借りることもできましたし、事務員さんにも来ていただく予定ではあります。
行政書士登録を検討されておられる方へ
上記の条件(1)から(3)を1つでもクリアできているという方は、問題ありませんので登録すればよいと思います。しかし収入面に関しては、上記①から③の制約がありますので、大きく稼ぐというのは難しいかと思います(大きく稼いでおられる方もおられます。)
業務内容については、許認可部門がいいと思います。お客様と継続的な付き合いになることが多いですし、その中で顧問的な報酬を受け取ることもできます。私自身も遺言相続後見のことばかりを書いてはいますが、少しずつ許認可業務が増えてきています。
と、行政書士開業についてネガティブなことを書いてしまいましたが、「行政書士は食えますか?」という問いかけに対する行政書士からの回答が、「ラーメン屋で食えますか?という質問と同じで的外れだ。儲かってるラーメン屋もいれば、そうでないラーメン屋もいる」的なものが多いのが以前より気になっていましたのでこのエントリーを書いてみました。飲食店に例えるならば、行政書士で開業するというのは喫茶店を開業するようなものです。客単価が低く、大きな売り上げをあげることは難しいです。そんな業種に、過去に飲食店勤務の経験も無く、愛想も悪い人が、最低1年分くらいの経費と生活費の蓄えもなく参入するのは無謀です。
行政書士の登録を考えておられる方で、私に聞いてみたいことがあれば、いつでもお気軽にお問い合わせください。